現在私は、北欧の国スウェーデンの片田舎で、シングルマザーとして3人の子供を育てています。出会ったばかりの子父は知らぬ間に音信不通となり、その後再会することもなくシングルマザーとして生活する事を決意。

今回は妊娠発覚後にスウェーデンへ移住し、現在の落ち着いた暮らしを手に入れるまでの移住の道のりをご紹介します。

移住を決断した理由

大学を卒業後にUKで数年の留学時代を過ごしていた私は、その頃人生を掛けるつもりで、既に日本国籍からヨーロッパ国籍に変更していました。また、春先にはそれまでの努力が実を結び、初めての就職先も決まりました。就職先は技術職で、お給料はそれほどではありませんでしたが、運良く希望の就職先に就職できたのです。就職先でたったひとつ解せなかったのは、技術の習得効率から、就職後5年間は結婚を控えて欲しいという事情でした。けれども結婚はおろか、当時恋人もいなかった私にとって、それは大きな問題ではありませんでした。

思いがけない妊娠

大学を卒業した夏休み、ヨーロッパの国でバカンスを過ごしていた私は、ひと夏の恋をしました。既に就職が決まっており、気分は開放的で、少し有頂天になっていたのでしょう。

しかし夏が終わってUKの自宅に帰国すると、体調の変化に気づきました。妊娠していたのです。

散々迷った挙げ句に、飛行機代は痛かったのですが、夏の間を一緒に過ごしたひと夏の恋の相手に妊娠を伝えようと決心し、彼のアパートを再び尋ねました。ところが、そのアパートの表札には見知らぬ名前が書かれ、彼の姿はどこにもありませんでした。

戸惑う私に、妊娠という現実が重くのしかかりました。就職先は決まっていましたが、契約違反ということで、結局業務契約書は作成して貰えませんでした。私は働き始める前に職を失ってしまったのです。中絶を選ぶ事もできず、既に日本国籍のない私は日本への帰国も叶わず、ひとりで子供を育てていくことを決心しました。

移住先はスウェーデン

妊娠をきっかけに仕事をなくしてしまった私は、新しい仕事を探さなければならないと思いました。しかし、妊婦を雇ってくれる会社がどこにあるでしょうか。採用しても数カ月後には育児休暇に入り、会社がその負担をしなければならない相手です。就職は、到底無理だと分かります。

その時、私の脳裏に突如浮かんだのは移住でした。自分の暮らしている国よりも、子供を育てやすい国があるかも知れない。そこで私は高福祉国家として名高い、北欧の国々の情報を集めだしました。滞在許可に関しては、既にヨーロッパ国籍を持っていたため、EU圏内の移住は比較的容易だったのです。

教育費と環境が決め手

北欧の中で、デンマークとスウェーデン、そしてフィンランドの情報を集めました。その中でも特に、教育水準の高いフィンランドとスウェーデンが目に止まりました。子供を育てていく場合、気になるのが教育費と教育環境。北欧の中で教育水準が高いのは、スウェーデンとフィンランドの2国でした。また、2国を比べた場合に、スウェーデン語は英語と同じゲルマン系の言語という事で、習得が可能なのではないかとも思いました。

その上、税金は高いけれども、大学までの教育費は全て無料。子供が生まれる前からシングルマザーになるのが分かっていて、教育に掛かる費用が高い国では暮らせる自信がありません。そもそも、これから母子ふたりの生活がどうなるかもわからないのですから。もちろん迷いもありましたが、私はスウェーデンへの移住を決断しました。

急がなければ

移住先を決めたとしても、既に妊婦です。時間の猶予はありませんでした。引越し先を見つけるのにも、引っ越しを完了するのにも、時間は限られています。

まずはインターネットのサイトで、当分の落ち着き先を探しました。ストックホルム市内はどこもアパート代がとても高いのです。それに私はスウェーデン語もできない外国人です。システムも分かりません。そこで、もしルームメイトがいれば、いざ出産という状況になったり、困ったことがあったりしても誰かに助けてもらえるだろうと考えました。

私は、大手のアパート情報ではなく、地域の個人売買サイトのような所でルームメイトの募集を探しました。その中から運良く、ファミリー可の物件を発見し、なんとか契約にこぎ着けたのです。同じサイトで、自分の引っ越しのために個人のドライバーも募集しました。すると、1000ユーロを払えば、私の住居まで荷物を引き取りに来てくれ、引っ越しを手伝った上に新しいアパートまで運んでくれるという奇特な人を見つけました。妊娠がわかってからここまでわずか1ヶ月間のことで、国をまたいでの移住は急ピッチで完了しました。

移住のメリット

移住先のアパートのオーナーは私のことを歓迎してくれましたが、私の状況には驚きを隠せないようでした。オーナーは60代の夫婦で、既に子供が独立していたこともあり、私の妊娠に関しても惜しみなく協力してくれました。それまでスウェーデン人の知り合いはいませんでしたが、想像していた通り英語をよく話すので、日常で困ることはそれほどありませんでした。

また、スウェーデンという国の社会のシステムに馴染みのない私にとって、オーナー夫妻はかけがえのない情報収集先でした。妊娠しているということもあり、当面は仕事ができないので移民のための語学学校へ申込みをしました。ただ、この待ち時間が本当に長い。4ヶ月も待って、やっとスウェーデン語の勉強が始められると思った頃には、もう出産まで3ヶ月を切っていました。それでも、移住して2年間は移民局から生活のための費用や、学校へ通うためのバス代として、交通費を受け取ることができるのは大変恵まれています。

育児休暇手当と子ども手当

現在は少しシステムが変わっているのですが、私が最初の子を出産した時には、妊娠18週と32週の2度、超音波検査を受けることができました。日本と比べると、とても回数が少ないですね。超音波検査は、病院ではなく助産院へ行きますが、出産する場所は大学病院に決まっていました。地域で病院が決められているので、選択肢はひとつです。また、ありがたいことに出産までの定期検診を受ける助産院では、一切料金が発生しませんでした。

私は移住したばかりで、国への税金を納めていませんでしたが、それでも育児休暇手当を申請できるというのは本当に助かりました。育児休暇手当は、出産予定日の1ヶ月前から申請できるということで、早速申請しました。スウェーデンでは一般的に、育児休暇は男性も女性も取得しますが、シングルマザーなのでフルで取得できたのもとてもありがたい制度です。

もともと家具付きのシェアハウスだったため、身の回りのものに新しくお金を使わずにすみましたし、学生時代にバイトでためていた貯金も少しですがありました。一般的に、育児休暇手当は給金から換算されますが、仕事経験のない人も1日あたり180クローナ(2020年5月のレートで約2,000円)の最低額を貰えたので、1月分がまとめて入ればなんとか生活も可能です。

更に住居手当や社会保障の充実

シェアハウスの内住まいなので、当時は住居手当の更新は叶いませんでした。しかしながら収入と家賃、家の広さと子供の人数を総合して、社会保障局から受けられる住居手当もあるのだと後から知りました。また、毎月入金される児童手当もとても充実しています。日本や諸外国では、子供の成長と共に一人あたりの児童手当の額は減りますが、スウェーデンでは11歳から貰える児童手当の額は多くなります。

また、スウェーデンでは皆が生活保護をもらうことを「国民の権利」と主張します。日本では生活保護を貰うことは税金の無駄と思われたり、誇れない悪い事のように言われます。また、その使い道にしてもパチンコやショッピングに費やすと陰口を言われる事もあると聞きます。

スウェーデンでは、生活保護は最後の切り札なので、プライドから受け取らないという人も多くいます。けれども助産院のナースや近所の人、ソーシャルワーカーなどは皆、口々になぜ生活に困っているのなら生活保護を申請しないのかと、不思議な顔をするのです。生活保護は権利なので、シングルマザーで大変ならば申請するべきだと皆が教えてくれました。

また、収入が低い場合には保育園費も無料、もしくは低額で済むため、子供を保育園に預けながらスウェーデン語の学校へ通うことも容易になりました。

移住のデメリット

一方、困ったことも幾つもあります。慣れない国でいちから生活を始める苦労は、もともと覚悟していたので違いを楽しんで乗り切るつもりではいました。それでも物価の高い北欧の国ですから、無職の外国人シングルマザーの得られる手当では贅沢な生活は到底無理です。子供を連れてショッピングに行くことは容易でしたが、スーパーで突然赤ちゃんが泣き始めたのを、知らないおじさんに大声で怒鳴られる事もありました。それでも、スウェーデン語が全く解らないのでどうする事もできません。

保証人の重大さ

全く知り合いのいない国へ移住してしまったので、保証人が居ないのは大問題でした。例えば、銀行口座を作るのも一苦労。日本では口座を開設する人はどこの銀行へ行ってもお客様扱いです。けれどもスウェーデンでは、仕事をしていないのにどうして口座がいるのだ、という具合なのです。また、自分でアパートを借りて独立したくても、家族も夫もいない私には保証人になってくれる相手がいません。

一方、スウェーデンで知り合った近所の夫婦はふたりとも学生で、仕事に就いていないにも関わらず、アパートは持ち家です。スウェーデン人の女性の親が、保証人になってくれているからということで、どうにもできない事だと頭では分かっていながら、とても羨ましく思いました。

医療制度について

また、社会保障が充実しているとは言えど、医療は全く別の話です。そもそも、医療費は無料ではありません。18歳以下の子供に医療費はかかりませんが、日本でも自治体によって15歳まで無料のところも多くあります。スウェーデンでは、現在大人は1回の診察予約で200クローナ(約2,200円)が掛かります。この金額は、うっかり予約を忘れてしまったり、当日の具合で行けなかった時にもキャンセル料として同額が徴収されてしまうのです。

それ以上に、スウェーデンでは医者の予約を取るのが本当に困難です。薬がなくなってすぐに診察をお願いしたいのに、1ヶ月も待たされる事があります。インフルエンザでも診て貰えません。子供の発熱の場合に医者に行く目安は「40度の熱が5日間続いたら」。救急車を呼んだら到着まで1時間近く掛かるし、緊急病棟に行けば医者は常駐していないのです。「朝9時になったらドクターが来るから出直して」と言われてお終い。

UKの医療制度も大変でしたが、日本の恵まれた医療制度に慣れている私にとって、スウェーデンの医療制度は本当に信じられないことの連発です。特にシングルマザーの私は、この国では絶対に病気になるわけにはいきませんでした。

まとめ

フットワークの軽さだけで移住を決断し、全く知らない国にひとり(プラス子供)で移住してしまいました。今思えば、若かったからこそ可能だったのです。そして、国をまたいでの移住は当然困難なことも多々あります。けれども今、子供が大きくなるにつれて、自分の選択は間違っていなかったと思えるるようになりました。とにかく、教育にかかるお金が不要というのは、母子家庭にとって本当にありがたい事です。

UKや日本にいたら、シングルマザーで子供を大学にやることは、本当に困難でしょう。また、スウェーデンはシングルマザーの多い国なので、偏見もなく母子ともに周囲からおかしな目で見られることもありません。健やかで伸びやかに育っている子供を見るたびに、私はいつも心から良かった、とほっと胸をなでおろすのです。

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